A01-1:超高速・超低消費電力物質科学シミュレーション方式の研究開発
研究組織
研究代表者 |
稲葉 真理 | 東京大学大学院情報理工学系研究科・准教授 |
創造情報学・最適化ソフトウェア |
研究分担者 |
須田 礼仁 | 東京大学大学院情報理工学系研究科・准教授 |
数値解析・数値モデル化/数値アルゴリズム |
研究分担者 |
今井 浩 | 東京大学大学院情報理工学系研究科・教授 |
最適化アルゴリズム |
連携研究者 |
平木 敬 | 東京大学大学院情報理工学系研究科・教授 |
並列計算 |
研究概要
物質科学における第一原理に基づいたシミュレーションの高速化、大規模化は、計算流体力学、有限要素法など、すでに確立した分野と比較して著しく困難である。その最大原因は、物質科学シミュレーションがFFT、密行列計算、疎行列計算、多体相互作用計算など多くの計算要素を複雑に組み合わせて実現していることにある。この性質から、従来用いられてきたベクトル演算器やSIMDアクセラレータを用いることでは計算の加速が困難であった。将来のExa Flops, Zetta Flopsスケールの物質科学シミュレーションを実現するためには、汎用プロセッサを用いたシミュレーションより2桁以上の演算速度当たりの消費電力、接地面積とコストの削減が不可欠である。
本研究は、上記目標を、物理レベルから直接的にハードウェアに写像し、オーバーヘッドを極限まで低下させた計算機構を求め、それを実現するためのソフトウェア層を構築することを目的とする。研究対象とするハードウェアは、計算の全側面である演算、ネットワーク通信およびメモリ操作を加速するための演算アクセラレータ、ネットワークアクセラレータおよびメモリアクセラレータを備えたプロセッサシステムであり、物質科学シミュレーションを直接3種のアクセラレータ上にマップすることにより、超低消費電力性と超高速シミュレーションを実現する。将来の物質科学シミュレーションシステムでは、これら3種のアクセラレータをハードウェアで構築することを前提として、本研究計画では、FPGAを用いたブレッドボードモデルを対象として、物理モデルとハードウェアが直結する新しいシミュレーション実現方式を追求する。提案する方式では、物理⇒モデル化⇒数値アルゴリズム⇒演算・通信・メモリハードウェアを直結し、必要な回路だけを選択的に使用する技術を開発するために、(1)最適化コンパイラ、(2)最適化ハードウェアコンパイラ、(3)実行時最適化・回路選択ソフトウェアおよび(4)大規模FPGAを用いた演算・ネットワーク・メモリアクセラレータの研究開発を実施する。