A03-10:第一原理系励起状態の多体論と高転移温度超伝導物質デザイン
研究組織
研究代表者 |
高田 康民 | 東京大学物性研究所・教授 |
物性理論、研究統括、Tcの第一原理的計算手法考案 |
研究分担者 |
白井 光雲 | 大阪大学産業科学研究所・准教授 |
マテリアルデザイン学、DFT 計算、超伝導材料開発指針提案 |
研究分担者 |
前園 涼 | 北陸先端大学院大学情報科学研究科・講師 |
物性理論、DMC による交換相関核構成 |
研究分担者 |
前橋 英明 | 東京大学物性研究所・助教 |
物性理論、ラッティンジャー流体中のGWΓ開発と超伝導状態でのΓ解明 |
研究分担者 |
吉澤 香奈子 | 上智大理工学部・研究員 |
物性理論、固体中相関関数とTc の計算 |
連携研究者 |
秋光 純 | 青山学院大学理工学部・教授 |
物性実験、軽元素系高Tc 超伝導体創成 |
連携研究者 |
上田 寛 | 東京大学物性研究所・教授 |
無機固体化学、超伝導物質の開発と特性評価 |
連携研究者 |
大野かおる | 横浜国立大学大学院工学研究院・教授 |
計算物性理論、TDDFT 計算とGW法やGWΓ法との比較 |
連携研究者 |
斎藤 晋 | 東京工業大学大学院理工学研究科・教授 |
物性理論、励起状態予測と理論手法開発 |
連携研究者 |
廣井 善二 | 東京大学物性研究所・教授 |
固体化学、遷移金属酸化物高Tc 超伝導体探索 |
連携研究者 |
春山 純志 | 青山学院大学理工学部・准教授 |
量子物性実験、炭素系高Tc 超伝導体創成 |
連携研究者 |
是常 隆 | 東京工業大学大学院理工学研究科・助教 |
物性物理学、Tc の第一原理的定量評価 |
研究概要
密度汎関数法(DFT)やその時間依存版(TDDFT)の基礎理論開発に伴って一層深化している解析的研究を基盤にして、グリーン関数法で第一原理系の多体問題を忠実に解くことを目指す。具体的には、物性物理の重要で基本的な次の2課題を中心に据えて研究する。(a) 励起状態の交換相関効果と正常状態での準粒子像の詳細:自己無撞着GW法、および、ワード恒等式を満たし、かつ、交換相関核を含む頂点関数Γを組み込んだGWΓ法のコードを開発して、固体中の電子の(動的かつ非局所的な)自己エネルギーを正確に計算し、準粒子像の適否(とりわけ、フェルミ流体とラッティンジャー流体の相違)を含むその詳細を解明する。そして、それをARPESの測定原理も再検討しつつ、検証する。 (b) 超伝導転移温度Tcの定量的研究:約30年前に高田はエリアシュバーグ理論から出発してTcの第一原理計算手法を開発したが、最近、それがCaC6などの黒鉛層間化合物に見事に適用された。
ところで、このギャップ方程式はDFT超伝導理論に現れるそれと全く同じであるので、これら2つの理論を比較・検討しつつ、それらを超えた理論を建設して、それに基づいて超伝導の微視的機構の本質に迫ることを目指す。そして、得られた理論情報を超伝導体作成の現場に伝えると共に、逆に、作成現場の知恵を数値情報化して、理論実験間のシナジー効果で室温超伝導の夢を追う。