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- [A01] 星 健夫(研究代表者)
A01:新しい数理手法による大自由度物理計算アルゴリズム
研究組織
研究代表者 |
星 健夫 | 鳥取大学大学院工学研究科・准教授 |
研究概要
電子状態(電子の量子力学的理論)に基づく物質デザインは、大自由度数値解析(大行列固有値解析など)を基礎とするため、その高速計算手法が根源的進歩をもたらす。近年種々の革新的数理アルゴリズムが考案されているが、その成果を物質科学に直接反映させるための理論研究が必要であると考え、本研究の着想に至った。
特に、(1)数理アルゴリズム(例えば、一般化シフト型線形方程式に対するクリロフ部分空間理論)・(2)計算対象(物質系や目的物理量)・(3)計算機アーキテクチャ(パソコンからスパコンまで)、がいずれも多彩であり、それらの組み合わせで、問題ごとに最適なスキームが構築されることが重要課題である。
一方、本研究代表者はこれまで、大規模電子状態計算コードの開発を中核として、基盤的数理アルゴリズム研究から物質科学(10ナノメートル物質系)応用研究までに取り組んできた。本研究では、数理・物理・アーキテクチャを俯瞰的にとらえて、上記課題にとりくむ。
本研究の根源的アイディアは、電子状態計算の計算プロセスである「大行列生成+行列数値解析+物理量計算」を一体と考えた「物理計算エンジン」を問題と設定し、高速計算アルゴリズムをデザインすることである。目的物理量の数理構造まで考えて最適なアルゴリズムデザインをすることでブレークスルーが期待できる。
つまり、「欲しい物理量(だけ)を、必要な精度で、できるだけ少ないコストで、誰にでも(数値計算の非専門家にも)実行できるように」計算することである。目的物理量としては、(a)エネルギー・力、(b)電子スペクトラム(状態密度、局所結合エネルギースペクトラム(COHP)など)、(c)特定波動関数(最高占有状態, 最低非占有状態など)、の3 つを典型例と考える。
物質としては、金属・絶縁体など、汎用な物質を考える。それぞれに最適な解法を、アルゴリズムを選択したり複合化(マルチステージ化)したりすることで達成し、具体的な物質科学研究に応用する。
研究遂行にあたり、当領域研究者(特にA01-3班)との連携を密にはかり、計算科学と計算機科学の接点となることを目指す。