コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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A02:高速ロバストランダムウォークの設計に基づく物質デザイン

研究組織

研究代表者
小野 廣隆 九州大学大学院経済学研究院・准教授

研究概要

本研究では、「物質デザイン」のコンピューティクスに適したモデル(物質生成・加工のダイナミクスに対するランダムウォークモデル)を提案する。物質生成・加工において、対象となる分子の集合の状態とそれらの結合関係がなす遷移関係は、前者を頂点、後者を辺とした有限グラフとして記述できる.化学反応はマルコフ的(無記憶的)、つまり現在分子集合がどの状態にあるかのみに依存し、過去にどの反応経路を経由してその状態に到達したかによらない形で起こる。以上を考えると、物質生成・加工のプロセスにおける分子反応は、有限状態マルコフ連鎖、すなわち有限グラフ上のランダムウォークとしてモデル化できる。すなわち物質デザインは化学反応設計でありランダムウォーク設計となる。よってこれに望ましいランダムウォークの設計論が加われば、望ましい物質の生成プロセス自体を設計することが可能となる。ただし、そもそも素朴な全分子状態を頂点とみなすモデルは、N分子からなる系であったとしても頂点数がΩ(2^N)となり、Nがアボガドロ数6.0×1023のオーダーとなりうる「物質デザイン」の分野では実質的には計算(シミュレーションですら)不可能なモデルとなる。このため、本応募研究では、実際にコンピューティクスにおいて利用可能な「モデル」として、十分大きい複数の状態を1頂点として代表させた、いわば近似モデルとしての物質生成ダイナミクス・ランダムウォークモデルの提案を目指す。すなわち、本研究は1) 物質生成ダイナミクスに対するランダムウォークモデルの提案と、2) そのモデルに適した望ましいランダムウォークの設計論、の提供を目指すものである。


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