A02：分割統治法に基づく大規模電子状態計算法の確立と分子動力学法への応用

研究組織

研究代表者	下條冬樹	熊本大学大学院自然科学研究科・教授
物性理論、手法の開発と応用、研究統括

研究概要

大規模凝縮系の動的性質に対する第一原理的な研究を可能とする計算手法として分割統治法に基づくオーダーN電子状態計算法を提案する。これまでの準備研究により、自己無撞着計算の収束性が大幅に改善されるばかりでなく、大胆な近似にも関わらず分割領域やバッファーの大きさ等のパラメータを適切に選ぶことにより、実験や高精度の理論計算と比較的よく一致する計算結果が得られることを実証してきた。しかし、パラメータの設定を試行錯誤に頼る等、分割統治法の適応条件の見極めは必ずしも自明なことではなく、より詳細な検討が必要である。

本研究では、同手法の問題点や困難な点を明確化すると共にそれらの解決を図り、手法の確立を実現すると共に、臨界点近傍における流体のゆらぎ、燃料電池電極反応、応力腐食破壊等の分子動力学計算に応用する。また、分割統治法のアルゴリズムは並列計算に適しており、次世代スーパーコンピュータのような新興の超並列計算機の高い計算機能力を最大限に活用できるコードの開発も行う。更に、非平衡ダイナミクスを扱う理論手法と本研究で提案するオーダーN電子状態計算法を結合することにより、大規模系の非平衡過程の研究を可能とし、光捕集性デンドリマー等の光機能性物質やZnO/ポリマー系等のハイブリッド太陽電池におけるエネルギー伝達機構の解明を目指す。

研究室ウェブサイト

連携研究者

高良明英（物性理論、手法の開発と応用）
熊本大学学生支援部学務ユニット・技術職員

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