コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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A02:ナノ接合での非弾性電流、局所加熱、熱散逸の第一原理シミュレーション

研究組織

研究代表者
中村 恒夫 産業技術総合研究所・研究員
計算科学、電子伝導と非弾性過程

研究概要

ナノ接合系での伝導現象において、伝導電子と分子振動との相互作用による非弾性散乱過程の解明は、接合による素子のコンダクタンス変化、局所発熱・ジュール熱によるデバイス破断や構造変化予測といった、ナノスケールデバイス構築における課題を明らかにする為には必須である。また、非弾性電流を利用した分光 (非弾性電子トンネリング分光, IETS) も、架橋構造や接合計測手法として有効なツールとなりつつあり、第一原理によるIETSシミュレーションや非弾性散乱による励起振動モードの特定なども可能となってきた。しかし、実在分子接合系や分子膜、界面への適用は限られており、電子やフォノンの分極効果の取り込みも粗い近似計算である場合が多い。また、接合界面に続く電極表面・バルク領域での相互作用やフォノンの効果、熱散逸過程の取り込みも不十分である。

本研究では分子ナノ接合系での非平衡電気伝導に焦点をあて、伝導電子とイオン運動の相互作用ダイナミクスの理論と第一原理計算手法の開発・実在系への適用を行う。非平衡グリーン関数法や密度汎関数法を軸に、電気伝導度と伝導電子-フォノン相互作用による非弾性電流、局所加熱、基板電極への熱散逸といった素子の熱生成過程をatomistic に扱うことを目指し、(1) 非弾性電流、局在フォノン励起過程の第一原理計算と適用 (2) 接合での局所加熱と有効温度、電極への熱散逸の理論的定式化 (3) 基板電極のバルク・表面フォノン効果の繰り込みや、熱伝導過程の非弾性電流第一原理計算への組み込みといった課題に段階的に取り組んでいく。

連携研究者

  • 浅井 美博(物性理論、非平衡伝導理論)
    産業技術総合研究所・副部門長

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