コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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A02:高強度パルス光の伝播を記述するマルチスケール・シミュレータの開発

研究組織

研究代表者
矢花 一浩 筑波大学計算科学研究センター・教授
計算物理学、フェルミオン系の量子シミュレーション

研究概要

本研究は、パルス光が物質内を伝播する過程を第一原理から記述するための基盤となる、新たな理論と計算方法を確立することを目的としている。摂動論により記述される通常の光と物質の相互作用の場合は物質内の光伝播はマクスウェルの方程式により記述され、マクスウェル方程式の入力情報となる誘電関数等は量子力学により記述される。ところが高強度パルス光では、電子応答の非線形性のため従来の巨視的電磁気学(μmスケール)と微視的量子力学(nmスケール)を分離して扱うことができない。本研究は、この現状を正面から捉え、電磁波の伝播を記述するマクスウェル方程式と、電子ダイナミクスを記述する時間依存コーン・シャム方程式を結合したマルチスケール・シミュレータの開発を目標としている。

この研究で開発する方法論は、「強いパルスレーザーが結晶中をどのように伝播するのか」という極めて基本的な問題を解決するものであり、高強度パルスレーザーと物質の相互作用に関わるあらゆる現象が、本計算コードによる適用対象となりうる。光の絶対位相が物質との相互作用にもたらす効果や、アト秒電子ダイナミクスの解明などの最近の実験研究と協調し、フェムト秒以下の時間スケールにおける電子ダイナミクス解明に努めたい。

連携研究者

  • 岩田 潤一(計算物理学、大規模系の第一原理計算)
    東京大学大学院工学系研究科・特任講師
  • 乙部 智仁(計算物理学、レーザー科学理論)
    関西光科学研究所

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