コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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A03:自己組織化酸化物ナノスピントロニクス

研究組織

研究代表者
田中 秀和 大阪大学産業科学研究所・教授

研究概要

スピントロニクスは重要な次世代省エネルギーエレクトロニクスと考えられ、Fe系金属を利用した不揮発性磁気メモリ(MRAM)の実用化研究、さらにより一層の低消費エネルギー化に向け、電界・光によるキャリアスピン制御を通じた新機能が期待できる磁性半導体へテロ接合デバイス、強磁性酸化物/強誘電体ヘテロ接合デバイスの研究が活発である。特に、機能性酸化物は、室温を遥かに超えた強磁性転移温度を有する強磁性半導体(Fe, Zn)3O4や、非常に巨大な強誘電自発分極を有する物質BiFeO3などが存在する非常に魅力的な物質群である。しかしこれらの新材料を利用したデバイスは微細加工の限界の為、10~100mm2の大きなサイズの薄膜としての機能が評価されてきており、将来の低消費ナノデバイス化・超集積化の観点に欠けている。この為、従来の限界を超えたナノ構造形成法の出現が強く望まれている。

計算機マテリアルデザインとの密接な連携の元、磁場・電界・光に対して巨大な物性応答を示す遷移金属酸化物を対象とし、自己組織化と薄膜物質積み上げ法の2種類を融合した高度な気相成長ナノプロセスにより、ナノスケールでサイズ・形状・次元性を制御して自発的にナノ相分離成長させ、機能性酸化物自己組織化ナノ超構造体を作製する方法論を確立する。具体的には、最も強い自発分極を有する強誘電体酸化物内に、非常に高温まで強磁性を発現するFe酸化物超室温強磁性半導体のナノピラー構造を、従来の微細化加工の限界を超えた5nm~100nmサイズで形成可能とする。さらにこの自己組織化ナノ構造の実証実験と計算機実験から得られた知見を作製プロセスにフィードバックさせ、ナノ超構造体形成法をより一層高度化する。その応用例として3次元極微ナノピラーの超低消費電力電界制御型不揮発性スピンメモリをデモンストレーションする。


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