コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

ENGLISH

A01:複合数理原理による超大規模超並列電子状態計算

研究組織

研究代表者
星 健夫 鳥取大学大学院工学研究科・准教授

研究概要

数理原理の複合をキーワードとして、計算科学と計算機科学を融合した、超大規模超並列電子状態計算に取り組む。手法の数理的側面について、当該領域計画研究A01-3 班の張紹良氏・宮田考史氏(名古屋大)・曽我部知広氏(愛知県立大)を、研究協力者とする。

代表者(星)はこれまで、物理・数理・高速計算技術(HPC)の融合として、1,000万原子系までの超大規模電子状態計算理論の開発と応用に取り組んで来た。中核となるのは数種類の革新的大行列数理(クリロフ部分空間)ソルバーであり、金属・半導体など幅広い物質に適用できる。これらは、第一原理にもとづくモデル化(TB型)理論を用いた独自コード「ELSES」において実装されている。

1,000万原子系はシリコン結晶での70nm立方領域に相当し、産業で重要なナノ物質研究に期待がもてる。超並列計算に適しており、「京」における約10万 コアまでの計算で、高い並列効率(ストロングスケーリング)を示した。

本研究では、種々の数理原理を複合することにより、自動最適計算の構築を試みる。個々の計算での自動最適性を達成するには、Application-Algorithm-Architectureのより密接な協調研究が必要となる。種々の数理ソルバーを適切に複合していくことで、これが達成されるものと期待している。計算のボトルネックとなる要因としては、演算コスト・通信コスト・メモリコスト・ロードアンバランスなどが考えられ、これらは計算系(物質・目的)にも計算機にも依存する。基盤となる数理原理としては、これまではクリロフ部分空間理論の解法に注力してきたが万能ではなく、さらに広い範囲において革新的数理アルゴリズムを探求したい。合わせて、計算対象(物理量)の拡張などにも取り組む。

また、大行列数理ソルバーは汎用であり、他分野への水平的波及も期待できる。より広い応用分野での数理ソルバー活用を念頭に、当領域他研究者と積極的に議論を重ねていきたい。


« 一覧へ戻る

Copyright ©2010 コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス