コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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A02:次世代密度汎関数理論を用いた物質デザインシステムの構築

研究組織

研究代表者
今村 穣 理化学研究所計算科学研究機構・研究員

研究概要

本研究では、超効率的な物質デザインを目指し、次世代密度汎関数理論に基づく物質デザインシミュレータを構築し、複数の因子が機能を制御する複合相関系の高精度な記述を実現する。具体的には、次世代密度汎関数理論である(A)系依存密度汎関数理論(SDDFT)及び(B)軌道フリー密度汎関数理論(OFDFT)を開発する。

(A)これまで、研究代表者は、軌道の直線性条件を計算対象ごとに課した軌道特定密度汎関数理論(OSDFT)を開発し、従来の密度汎関数理論(DFT)では記述困難であった化学反応やイオン化ポテンシャルの定量的な再現に成功した。更に、本質的な物理条件を満たすSDDFTを開発し、すべての計算対象に対してより高精度な記述を達成する。SDDFTは、複合相関系の機能制御因子を定量的に評価が可能と考えられ、物質デザインに重要な手法となりうる。

(B)OFDFTは、従来のDFTとは異なり、軌道を用いないため計算コストが大幅に低い。それゆえ、OFDFTは、これまでのDFTの計算サイズの限界である数百原子を越え、数万原子の計算をルーチン的に実行可能である。研究代表者は、すでに軌道密度を基底として採用するOFDFTを世界で初めて提案し、局在系で高精度な結果を得ている。本研究では、軌道密度基底に基づくOFDFTの超並列プログラムを開発し、数十万から数百万原子系の計算を実行を目指す。

また、物質デザインシミュレータを用いた応用計算も行う。日本の発展には欠かせない、スピントロニクス材料、ナノカーボン機能性材料などに関して検討を行ってみたい。


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